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冒険ファンタジー小説『AIことばの物語』

第116話:“十字路”ガナワラ

◇“十字路”ガナワラ

「一気に決めるぞ!AIことば!『拡大』!」

“ヤオヨロズ”リーチがAIことばの力を発動する。リーチの体を赤色に輝く光が包む。リーチは赤色の光の適合者。

リーチが手の平でスマホの画面を拡大するような仕草をリーチ自身に向けて行う。リーチの指から出た四角い赤い光がリーチの体に当てられる。するとリーチの全身が一気に拡大されて行く!

「うぉー! ジャイアントコアラが現れた!?」

カボチャ型の宇宙船の中にいるメンバーが驚く。宇宙船の中にいるのは“10時の賢者”を最高代表とする団体“天(てん)”のメンバーである。

「トーチ!プーチ!かましてやれ!『拡大』!!」

リーチが弟トーチ、妹プーチにも拡大の仕草をすると赤い光がトーチとプーチに当てられる。トーチとプーチの体が拡大されていく。

「ジャイアントコアラが3匹も現れたー!しかも何だ!? あのでかい武器は!?」

“天(てん)”のメンバーが目の前の巨大なコアラの姿に驚く。弟トーチは鉄球ヌンチャク使い、妹プーチはボウガン使いのためそれぞれが持っていた武器も拡大化されている。

鉄球ヌンチャクの鉄球はコアラ型をしており、ボウガンも上から見るとコアラ型の可愛らしい形をしている。

「よし暴れるぞ!」

「行くわよー!」

弟トーチと妹プーチが叫ぶ。

「ワラワラワラ。何かコアラがでかくなったワラ。八つ裂きにして食ってやる!」

ガナワラが叫ぶ。

「俺はいらん!」

アシュロンがきっぱりと答える。

「うるさいワラ!うるさいワラ!」

アシュロンの言葉でガナワラが怒る。ガナワラの“抜けワラ”が更に増えていく。

「くそー、こんなに抜けてしまった!もう怒ったぞ!」

ガナワラが怒って抜け落ちた“抜けワラ”を大切な物を拾うようにせっせと集める。

「AIことば!『書道』!」

ガナワラから黒い光が舞い上がりガナワラの体を包み込む。ガナワラは黒い光の適合者。

ガナワラがAIことばの力を発動すると抜け落ちたワラの集まりが筆の形に変化して行く。

「閻魔(えんま)!」

ガナワラが叫びながらそのワラでできた筆で閻魔の姿を描いて行く。すると、みるみる内に墨で描かれた閻魔が上空に現れる!

「出た!ガナワラ様がすごく怒った時にしか出さない“抜けワラ閻魔”だ!」

“天(てん)”のメンバーがカボチャ型宇宙船のモニターを見ながら叫ぶ。

「行くぞー!」

「やってやるワラ!」

「ズドーーーン!!」

弟トーチの鉄球ヌンチャクとガナワラの閻魔が持つ扇(おうぎ)が勢い良く衝突する。

「おいおい・・・こんなに激しく戦ったらこの土地がもたないぞ!?」

地上のコアラ族の中にはコアラ族のすみかを心配する者も現れる。

戦闘コアラ族と“十字路”が一進一退の攻防を繰り広げて行く。

(続く)